インプラント1回法とは、インプラント治療における一つの方法で、通常のインプラント治療が複数回の手術を必要とするのに対して、1回の手術でインプラントの埋入を行う方法のことです。さらに1回法には「抜歯即時インプラント」「即時荷重インプラント」と分かれます。
抜歯即時インプラント
抜歯即時は歯を抜歯したと同時にインプラントを埋入する方法です。通常の方法ですと抜歯によって生じた傷が治るのを待ってから改めて手術を行いますが、その期間中は歯がない状態で生活することになります。歯がない状態では会話や食生活等に影響がどうしても出てしまいストレスとなります。
抜歯即時インプラントは抜歯と同時にインプラントの埋入まで行うため、歯がない期間はどうしても生まれてしまいますが治療期間の短縮が出来ます。
なお、前歯など見た目に影響する部分については、手術当日に見栄えの良い義歯や取れにくく工夫された美しい仮歯が必ず入りますのでご安心ください。
即時荷重インプラント
即時荷重インプラントはインプラント埋入手術と同時に仮歯のセットまで進める治療法です。歯がない期間が生じず手術当日から食べものを噛むことが可能です。会話や食生活に影響が出ないかつ治療終了までの期間を一般的なインプラント治療と比較すると大幅に短縮することが可能です。
このようにどちらのインプラント1回法も、最大のメリットは治療終了までの期間を大幅に短縮出来ることで患者様の生活の質を下げずに負担を減らすことが出来る点です。
インプラント1回法のメリットとこだわり
インプラント1回法は2回手術を行う場合に比べて様々なメリットがあります。
・歯がない期間が極端に短くできる
しかし、インプラント1回法の最大のメリットは、歯ぐきが潰れたり歯肉が倒れこまないことにより、歯ぐきの高さを理想的な状態で持ち上げることが出来ることです。
とくに前歯などの自然な見た目が大切な部位においては、歯ぐきがへこまないこと、変形しないことは、皆さまが思っている以上に審美性においてとても重要です。
1 回法で行うことで、見た目(審美性)も格段に良くなること、またもの詰まりが少ない理想の歯ぐきと歯の形を作ることが出来るのでトラブルも起きにくいというのも、歯科医療において世界的に共通する見解です。
逆に言えば、2回法の最大のデメリットは歯ぐきが減ってしまいやすいため、より理想の歯と歯ぐきの形を作る場合に、歯ぐきの移植手術を追加で行う必要が生じたり、あるいは歯ぐきが減った分を歯の形を変えて補うことが必要になります。そうするともの詰まりが起きやすくなったり、1回法と比べるとどうしても見た目も劣ってしまいます。
時には患者様の状態によって2回法にする場合が全体の 10%程度はありますが、1回法に勝るものはないと言えるでしょう。(噛み込が非常に深い方、骨造成をした骨が脆弱な方など、どうしても1回法が適用できないケースもありますので、ご相談ください。)
インプラント手術で一般的に行われる2回法は多くの歯科医院で行っていますが、1回法のインプラント手術は多数の埋入手術の経験と技術、正しい材料の選択、また守らなければならないルールも多くあります。
当院でインプラント 1 回法は 350 症例以上の実績があり、ここ数年はインプラント手術を行う 90%以上の患者様を1回法で行っております。
折角当院でインプラント治療をお受けいただくのであれば「一生涯トラブルなく快適な生活を送ってほしい。見た目も美しいお口元で明るく自信をもった笑顔になってほしい。」そんな思いから当院ではインプラント1回法にこだわっています。
インプラント1回法で行った症例
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手術時に歯ぐきを守る On1 コンセプト
インプラント治療における On1 コンセプトとは、ノーベルバイオケア(Nobel Biocare)社が開発した治療方法のひとつで、歯ぐきを守りながら、治療の快適さや仕上がりの質を高めることを目的としています。
On1 コンセプトの特徴
①歯ぐきを守る設計
インプラントを埋め込む際に、「On1 ベース」という特別な部品(アバットメント)を取り付けます。この On1 ベースは治療が完了するまで取り外さないため、手術後の歯ぐきへのダメージが最小限になります。通常のインプラント治療では、最終的な歯を入れるまでに何度か部品を交換するため、歯ぐきに負担がかかることがあります。しかし、On1 コンセプトでは最初に装着した On1 ベースを維持できるため、歯ぐきが安定しやすく、治癒がスムーズになります。何よりもインプラント周囲の組織、骨とインプラントの結合(オッセオインテグレーション)だけではなく、歯肉とインプラント接合部の結合(ムコインテグレーション)が、インプラントにおけるトラブルを最小限にしています。
②治療がスムーズに進む
On1 ベースの上から、仮の歯(ヒーリングアバットメント)や、型取りのための部品、最終的な人工の歯を取り付けることができます。そのため、途中で手術を追加する必要がなく、治療の流れがスムーズになります。また、On1 コンセプトは、デジタル技術(CAD/CAM)とも相性がよく、より精密で自然な仕上がりの人工歯を作ることができます。
③患者さまの負担を軽減
• On1 ベースを維持することで、歯ぐきのダメージや痛みを減らすことができるため、治療後の不快感が少なくなります。
• インプラントの仮歯をすぐに装着する「即時負荷」という方法にも対応できるため、治療期間を短縮できる場合があります。
On1 コンセプトのメリット
☑歯ぐきの健康を守れる(炎症や後退のリスクを減らせる)
☑治療の流れがスムーズ(途中で手術を追加する必要がない)
☑患者さまの負担が少ない(痛みや不快感を軽減できる)
このように、On1 コンセプトはインプラント治療の成功率を高めながら、患者さまの負担を軽くするための新しいアプローチとして、用賀デンタルオフィスで導入しています。